絵本とアニメチェコ紀行
どうやらこれからチェコが熱くなるという予感というか噂がある。何年か前にチェコ・アニメがちょっとしたブームになったことがあるけれど、その後も女性誌などで、何かとチェコが取り上げられているのだ。またチェコの世界遺産が、観光地として最近注目されていたりする。そういう訳で、チェコという国についてこれを機会に一緒に勉強してみましょう!
チェコ共和国、通称チェコはヨーロッパ中部の国。首都はプラハ。元はチェコスロバキアという国だったが、1993年にチェコとスロバキアに分離し成立した。公用語はチェコ語である。冷戦時代は他の東欧諸国と同じように社会主義国家であったが、スターリンの独裁政権による抑圧への民衆の不満が、「プラハの春」を引き起こしたことはつとに有名であろう。
伝統的な産業は、チェコ・ビールとボヘミア・ガラスがあげられる。またキリスト教国としては珍しく、火葬を行うことでも知られている。
歴代の著名人は、画家ではアルフォンス・ミュシャ。映画監督では、ヤン・シュヴァンクマイエルや『カッコーの巣の上で』、『アマデウス』のミロス・フォアマン、そしてカルト的な人気の作品『ひなぎく』を作ったヴェラ・ヒティロヴァー。
それから作家(小説家)としては何と言っても、フランツ・カフカである。他にもミラン・クンデラやカレル・チャペック(画家で絵本作家のヨゼフ・チャペックの弟)、そして詩人のハイネもチェコの人だ。
音楽家では、古くは、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。現代では、ドヴォルザーク。そして連作交響詩『わが祖国』(Ma Vlast)を作曲したベドジフ(ベドルジハ)・スメタナもその一人。ちなみに『わが祖国』第2楽章で有名な「モルダウ川」とは、実はドイツ語の呼称で、チェコ語では「ヴルタヴァ川」と言うのだ。
テニスのイワン・レンドルやマルチナ・ヒンギスもチェコ人。サッカーだとパベル・ネドベド(パヴェル・ネドヴェド)もそうだ。
でもなんと言っても、チェコと言えば、絵本とアニメなのである。その訳は、社会主義時代に言論や思想が弾圧されていたため、直接的な政治言語を使わない絵本とアニメに、才能のある芸術家が向かったためだと言われている。
第二次世界大戦後、人形アニメーションのパイオニアとして世界的な名声を博した巨匠イジー・トゥルンカが、同時に数々の絵本の挿絵を手がけを受賞したように、チェコ・アニメの作家たちの中には、絵本創作やイラストレーション、デザインなどを手がける場合も多く、そこには、アニメ作品と同様の詩的な世界が繰り広げられている。
そして、チェコの絵本の現代史を辿るとき、アニメーション映画やTVアニメーションの分野との交流が、絵本の世界をより豊かにしていることに気づかされる。20世紀の社会主義体制下、チェコでは、芸術家の制作活動に制約が存在した。しかし、絵本は自由な創作が許される一種の治外法権的な領域となり、前述したように多くの作家たちが、絵本のジャンルで才能を発揮していった。もちろん、政治的な抑圧の中、海外に活動の場を求めた作家も少なくない。
現在でも、海外での出版が先行するケースも見られるなど、複雑な背景の中で、「チェコの絵本」や「チェコの絵本作家」をひとくくりに語ることは容易ではないかもしれない。けれども、その歴史の中で育まれた多用な芸術性(素朴な味わいや、洗練されたデザイン性)は、今日の私たちをなぜか強く惹きつける。
と書いたところで、チェコ絵本やアニメの良さを伝えられないのが実に悔しい。とにかくチェコの作品の色彩感覚は、どれも素晴らしいのだ。それこそ魂が震えるような作品に出会うことも珍しくない。なので機会があったら、ぜひそのどれかを手にとってもらいたい。一番簡単なのは、「TSUTAYA」などで気になったチェコ・アニメを実際に借りて観てもらえればいいと思う。
とりあえず、チェコの絵本作家を列挙して見ると、アドルフ・ボルン、イジー・トゥルンカ、オタ・ヤネチェク(ヤネチェック)、クヴィエタ・パツォウスカー、ズデネック・ミレル、ドゥシャン・カーライ(スロヴァキア)、ミルコ・ハナーク、ミロスラフ・サセック(チェコ出身)、ヤン・クドゥラーチェク/ヤン・クドラーチェク、ヨゼフ・チャペック(上記であげたカレル・チャペックの兄)、ヨゼフ・パレチェク(パレチェック)、ヨゼフ・ラダなどがあげられる。またチェコのアニメーション作家では、ヘルミーナ・ティールロヴァー、ガリク・セコ、イジー・トゥルンカ、ブジェチスラフ・ポヤル、ズデネック・ミレル、カレル・ゼマンなどが有名である。
手元に世界地図がある方は広げてみて欲しい。もしなければウェブ上のヨーロッパ地図を見てもらえばいいが、チェコという国はヨーロッパの中心に位置している。北西側にはドイツが、北東にはポーランド、東にスロバキア、そして南にはオーストリアという国が接している。人口1000万人ほどの小国だが、地政学的にも今後注目されていく場所であろう。
近代以降もゼセッション、キュビスム、シュルレアリスムなど様々な芸術活動や思想が往来し、それらは子どものための絵本の創作にも大きな影響を与えてきたチェコ。
さらに20世紀のアヴァンギャルド運動を通じて、チェコのブックデザインは、作家の創作活動を伝播する役割を担うこととなった。
でもまずはとにかく、絵本やアニメの色彩感覚を堪能して欲しい。チェコを知るのは、そこからがいいと個人的に思うのだ。
タグ:
- Ma Vlast
- TSUTAYA
- ひなぎく
- わが祖国
- アドルフ・ボルン
- アマデウス
- アルフォンス・ミュシャ
- アヴァンギャルド運動
- イジー・トゥルンカ
- イワン・レンドル
- オタ・ヤネチェク(ヤネチェック)
- カッコーの巣の上
- カレル・チャペック
- カレル・ゼマン
- ガリク・セコ
- キュビスム
- クヴィエタ・パツォウスカー
- シュルレアリスム
- ズデネック・ミレル
- ゼセッション
- チェコ
- チェコの絵本
- チェコの絵本作家
- チェコスロバキア
- チェコ・アニメ
- チェコ・ビール
- チェコ共和国
- チェコ語
- ドゥシャン・カーライ
- ドヴォルザーク
- ハイネ
- パベル・ネドベド(パヴェル・ネドヴェド)
- フランツ・カフカ
- ブジェチスラフ・ポヤル
- ブックデザイン
- プラハ
- プラハの春
- ヘルミーナ・ティールロヴァー
- ベドジフ(ベドルジハ)・スメタナ
- ボヘミア・ガラス
- マルチナ・ヒンギス
- ミラン・クンデラ
- ミルコ・ハナーク
- ミロスラフ・サセック
- ミロス・フォアマン
- モルダウ川
- ヤン・クドゥラーチェク/ヤン・クドラーチェク
- ヤン・シュヴァンクマイエル
- ヨゼフ・チャペック
- ヨゼフ・パレチェク(パレチェック)、ヨゼフ・ラダ
- ヴェラ・ヒティロヴァー
- ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
- ヴルタヴァ川
- 世界遺産
- 国際アンデルセン賞
- 火葬
- 絵本
Category : 芸術全般 |
Comments [0] |
Trackbacks [0]



コメントする
(初めてのコメントの時は、コメントが表示されるためにこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)